前立腺がんは、日本人男性が最もかかりやすいがんです。2023年には約10万2千人が診断され、一生のうちおよそ9人に1人がかかると推計されています。
それにもかかわらず、初期にはほとんど症状が出ません。気づくきっかけになるのが、採血だけで受けられるPSA検査です。
このページでは、PSA検査で何がわかるのか、どのように行うのか、費用はいくらか、どんな方が受けたほうがよいのかを順にご説明します。
前立腺の検査(PSA検査)とは?
前立腺は、膀胱の下にあって尿道を取り囲む、男性だけにある臓器です。精液の一部となる前立腺液を作っています。
PSA(前立腺特異抗原)は、この前立腺で作られるタンパク質です。前立腺にがんや炎症があると血液中に漏れ出して増えるため、血液中のPSAの量を測ることで前立腺の異常に気づくことができます。
検査は腕からの採血だけで終わります。前立腺の検査というと身構える方が多いのですが、PSA検査は健康診断の採血と同じように受けていただけます。
前立腺の病気を扱うのは泌尿器科です。当院では人間ドックのオプションとしてもお受けいただけます。
PSA検査で何がわかるの?
PSA検査でわかるのは、前立腺に何か起きている可能性があるかどうかです。前立腺がんのほか、前立腺肥大症や前立腺炎でも値が上がります。
PSAは年齢とともに上がりやすいため、年代ごとの目安が用いられることがあります。
| 年齢 | 目安となる値 |
|---|---|
| 50〜64歳 | 3.0ng/mL以下 |
| 65〜69歳 | 3.5ng/mL以下 |
| 70歳以上 | 4.0ng/mL以下 |
なお、年代を分けずに一律4.0ng/mLを目安とする施設もあります。お受けになる施設の基準をご確認ください。
ただし、これは正常と異常を分ける線ではありません。目安を少し超えた程度なら、がんではない方のほうが多く見つかります。反対に、目安以下でも前立腺がんが見つかることがあります。
PSA検査は、がんかどうかを決める検査ではありません。次に詳しく調べたほうがよいかどうかを判断するための、最初の手がかりとお考えください。
PSA検査のやり方と流れ
PSA検査そのものは、腕からの採血だけです。数分で終わり、食事制限などの特別な準備も必要ありません。検査後もふだんどおりに過ごしていただけます。
値が高かった場合は、次のように段階を追って調べていきます。
- PSA検査(腕から採血)
- 目安を超えていたら、日をあけてもう一度採血します
- それでも高ければ、触診・超音波・MRIで前立腺の状態を確認します
- がんが強く疑われるときに、はじめて組織を採る検査(生検)を検討します
受けた方の多くは1で終わります。2でもう一度測ると値が下がり、そのまま様子を見る方も少なくありません。「PSAが高い」と言われた時点では、がんと決まったわけではありません。
射精など前立腺への刺激で、PSAが一時的に上がることがあるとされています。検査前の過ごし方について案内がある施設もありますので、気になる場合は受診先にご確認ください。また、前立腺肥大症のお薬(デュタステリド)や、男性型脱毛症のお薬(フィナステリド、デュタステリド)は、PSAの値を下げることが知られています。お薬手帳をお持ちいただき、ご自身の判断でお薬を中止しないでください。
PSA検査の費用はいくら?
PSA検査の費用は、受ける場所や保険が使えるかどうかで変わります。ここでは一般的な目安をご紹介します。
症状のない方が人間ドックや検診のオプションとして受ける場合は自費となり、施設によって幅がありますが、おおむね2,000〜4,000円程度が一つの目安です。自治体の検診では、費用の一部が助成されることもあります。
健診でPSAが高いと指摘され、精密検査として受ける場合は健康保険が使えることがあります。この場合、3割負担での採血の費用は数百円から1,000円程度です(診察料などは別にかかります)。
ちなみに当院の料金は以下になります。
- PSA検査:2,420円(税込)
PSA検査を受けるべき人は?
日本泌尿器科学会は、自治体などが行う住民検診では50歳以上の男性を対象とすることをすすめています。人間ドックなどご自身の希望で受ける検査では、40歳代のうちに一度測っておくことがすすめられており、父・兄弟・お子さんに前立腺がんの方がいる場合は、とくに受診がすすめられます。
次のいずれかに当てはまる方は、一度測っておく意味があります。
- 50歳以上で、PSAを一度も測ったことがない
- 父・兄弟・お子さんに前立腺がんの方がいる(40歳代のうちに一度)
- 尿が出にくい、回数が増えた、残っている感じがする
- 健診や人間ドックで「PSAが高い」と言われた
前立腺がんは初期に症状が出にくく、症状が出てから見つかると、選べる治療が限られてしまうことがあります。採血だけで受けられる検査ですので、人間ドックの機会にあわせて測っておくと負担がありません。
血尿が出た、尿がまったく出ない、原因のはっきりしない腰や骨の痛みが続く、体重が減ってきた。こうした症状があるときは、PSAの値にかかわらず早めに泌尿器科を受診してください。
PSA検査は痛い?つらい?
PSA検査は腕からの採血だけですので、痛みは通常の採血と変わりません。所要時間も数分です。
「前立腺の検査」と聞くと、おしりから指を入れて調べる検査や、針で組織を採る検査を思い浮かべて不安になる方が少なくありません。こうした検査を、いきなり行うことはありません。
触診や生検は、PSAの値や症状から必要と判断された場合に、内容と理由をご説明したうえで行います。ご本人が納得されないまま進めることはありませんので、まずは採血だけとお考えください。
PSA検査をおすすめする理由
前立腺がんは、初期にはほとんど症状が出ません。尿の出にくさなどの症状が出てから見つかった場合、すでに進行していることがあります。採血だけで早い段階の手がかりが得られることが、この検査の大きな利点です。
いっぽうで、PSA検査には知っておいていただきたい面もあります。この検査は、国がすべての方にすすめる検診には含まれていません。
55〜69歳を中心に行われた大規模な研究では、検査を受けた方のほうが前立腺がんで亡くなる人が少なかったと報告されています。ただし、その差は大きなものではありません。
また、放っておいても命に関わらないおとなしいがんまで見つかることがあります。これを過剰診断といい、本来必要のなかった検査や治療につながる場合があります。
当院では、こうした両面をご説明したうえで、受けるかどうかを一緒に決めていければと思っています。50歳を過ぎた方、ご家族に前立腺がんの方がいる方は、人間ドックの機会に一度ご相談ください。迷っている段階でのご相談だけでも構いません。
PSA検査でよくある質問
PSA検査の前に控えることはありますか?
食事制限は必要ありません。射精や自転車などによる前立腺への刺激で、値が一時的に上がることがあるとされています。検査前の過ごし方について案内がある施設もありますので、気になる場合は受診先にご確認ください。
PSAが高いと言われました。がんでしょうか。
その時点でがんと決まったわけではありません。前立腺肥大症や前立腺炎など、がん以外の理由でも上がります。まずは日をあけて測り直すところから始めます。
PSA検査は「あてにならない」と聞きました。
PSAだけでがんの有無は決められません。ただ、採血だけで前立腺の異常に気づけるため、きっかけとしては役立ちます。他の検査と組み合わせて判断します。
何歳から受けたほうがよいですか?
住民検診では50歳以上の男性にすすめられています。人間ドックなどご自身の希望で受ける場合は、40歳代のうちに一度測っておくことがすすめられており、父・兄弟・お子さんに前立腺がんの方がいる場合はとくにおすすめします。ご心配な方はご相談ください。
人間ドックのお申し込みはこちらから

- PSA検査は、人間ドックのオプションとしてお申し込みいただけます。
- 人間ドックの受診は全て予約制です。お電話にてお申し込みください。
- 企業・団体などで申し込まれる場合は、担当者が訪問し詳しくご説明致します。
- 受診日時が決定しましたら、お早めに御連絡下さい。
- 当院は全国健康保険協会で実施している「生活習慣病予防健診」の指定医療機関です。
- 全国健康保険協会への申込みなどご面倒な手続きは、当院が代行させていただきます。
| 平 日 | 08:45~12:00 / 13:30~17:00 |
|---|---|
| 電 話 | 予約・お問い合せ 0120-46-3162 ※完全予約制になっておりますのでお電話にて、どうぞお気軽にお問い合わせください。 |
| 休診日 | 土曜日・日曜日・祝日・年末年始 |
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「前立腺がん 検査」(2024年7月30日更新)
- 国立がん研究センター がん統計「前立腺」(罹患は全国がん登録2023年データ)
- 国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」(累積罹患リスク・2023年データに基づく)
- 日本泌尿器科学会「PSA検診に関する声明文」(2019年4月10日)
- 日本泌尿器科学会編「前立腺がん検診ガイドライン 2018年版」(メディカルレビュー社)
- 日本泌尿器科学会編「前立腺癌診療ガイドライン 2023年版」(Mindsガイドラインライブラリ)
- Roobol MJ, et al. European Study of Prostate Cancer Screening – 23-Year Follow-up. N Engl J Med. 2025;393(17):1669-1680.

